舞娘茶屋 雛蔵畫廊 相馬樓。酒田舞娘さんと北前船が運んだみちのくの京文化を楽しむ旅

 
相馬樓の外観

相馬屋から相馬樓へ

相馬樓は、江戸時代から続いた酒田の料亭「相馬屋」(国の有形登録文化財建造物)に新しい息吹を加えて修復し、2000(平成12)年3月に「舞娘茶屋 雛藏畫廊 相馬樓」としてオープンした観光施設です。その名の通り、酒田舞娘の踊りと食事が楽しめるほか、歴史ある雛人形や樓主・新田嘉一所有の円山應擧、富岡鐡齋、竹久夢二の絵画といった超一流の古美術品などが展示されており、港都・酒田の「粋」を集めた「文化のお座敷」になっています。

舞娘さんの写真

木造の母屋は、1894(明治27)年に起きた庄内大地震の大火で焼失した直後に、残った土蔵を取り囲む形で建てられました。相馬屋を有名にしたのは、庄内大地震の前年、酒田の名士が余興として宮中の宴会を再現し、不敬罪で逮捕された「相馬屋事件」の舞台になったことです。それほど当時の酒田は繁栄していて、大正時代には、竹久夢二や詩人の野口雨情、作曲家の中山晋平といった当代きっての文人墨客も数多く訪れています。

栄華を誇った相馬屋ですが、時代の流れに抗しきれず1995(平成7)年に廃業しました。翌年に現樓主が買い上げ、かつての料亭文化を復活しようと修復を決意。「戯遊詩画人」と称される泉椿魚(いずみ・ちんぎょ)さんにプロデュースを依頼しました。泉さんは大地震前の面影を最大限に残しながらも、朱塗りの土塀や紅花染めの畳など、新しい技術や斬新なデザインを随所に盛り込んで修復しました。

 
玄関・ホール
 
くつろぎ処と茶室の写真
 
雛の蔵の写真

伝統と斬新さが融合

玄関を入ると、雛飾りを連想させる丸い燭台と朱塗りの上がり框、松竹梅と扇、鼓をデザインした金箔のレリーフがお客様を迎えます。

鐡齋の作品が飾られた1階の20畳2間続きの部屋が「くつろぎ処」。水墨画の襖や陶製の引き手など凝った意匠を、コーヒーや抹茶を楽しみながら鑑賞できます。

廊下を進むと中庭の奥に茶室があります。様式こだわらず、くつろぎともてなしの心を第一につくられました。さらに奥には、料亭時代の面影を伝える静かで落ち着いたたたずまいの蔵座敷が控えます。

最奥部に位置するのが雛の蔵です。相馬屋には江戸時代から伝わる享保雛や次郎佐衛門雛など数多くの雛人形があります。ただ一部を除き、そうした雛人形が一般に公開されるのは3月から4月3日まで。ほかの時期は文字通り「お蔵入り」しています。

>> 庄内ひな街道を歩く 「舞娘茶屋・雛蔵畫廊 相馬樓」

 
蔵画廊の写真
 
大広間で酒田舞娘の踊りを楽しむ

超一流の作品が圧倒

玄関東側の土蔵は蔵画廊に改装、樓主・新田嘉一のコレクションを展示しています。日本画は円山應擧、伊藤若冲、横山大観、竹久夢二、伊藤深水など、洋画は森田茂、ユトリロ、ヴラマンク、中国現代絵画を代表する黄冑など、陶芸は酒井田柿右衛門、北大路魯山人、浜田庄司、韓国の現代陶芸家・朴英淑などで、超一流の作品が圧倒的な迫力で見る人を魅了します。

階段を登ると、紅花染めの畳に彩られた大広間。「ますます繁盛」にあやかって、半畳の市松模様の畳敷きになっているのだそうです。あでやかな酒田舞娘の踊りを眺めながら、食事(舞娘弁当3,500円/入樓料別)が楽しめます。栄華を誇ったかつての大商人の気分に浸ってみてはいかがでしょうか。もっと気軽に舞娘さんの踊りを楽しみたいという方には、休樓日を除く毎日午後2時からも演舞披露(1,000円/入樓料込)があります。共に踊りが終わったあとに、舞娘さんと記念撮影をすることができます。

 
舞娘弁当の写真
 
舞娘さんと記念撮影
 
名刺代わりにいただいた千社札
 
舞娘さんにお話を伺う

酒田舞娘は会社員

酒田は、庄内米や紅花などの積出港として江戸時代から栄え、井原西鶴の「日本永代蔵」で「西の堺、東の酒田」と並び称されるほどになりました。数多くの「北前船」が往来し、積荷と一緒に入ってきた上方文化は風土と溶け合い、酒田独自の料亭文化が生まれました。

相馬樓の一方の主役・酒田舞娘は、こうした伝統ある酒田の料亭文化を育成するとともに、地域芸能を伝承して諸芸を修め、酒田の発展・地域文化の振興を図ることを目的に1990年、新田樓主を中心に酒田経済界の有志が結集して創った「舞娘さん制度」で生まれました。現在は、樓主が会長を務める(株)平田牧場の社員として相馬樓を拠点に国内外の各種イベントでも活動、「酒田の顔」「港都の親善大使」としても活躍しています。

ふだんに生きる舞娘修行

ともに2006年4月に「入社」した智弥さん、福千代さんにお話を伺いました。

好きな音楽に関係する何か変わった職種に就きたかったという智弥さん。福千代さんは弓道をやっていて日本文化へのあこがれがあったことから舞娘の道を選びました。

2人は19歳。舞娘デビューして1年数ヶ月ですが、この仕事に就いてたくさん会うようになった外国の方から、「スポンサー(パトロン)はいるの?」などと突拍子もないことを聞かれて驚いたそうです。映画などの「舞妓」のイメージが強いためでしょうか。

身支度も、髪結いさんが酒田にいないため、髪は「かつら」、着付けからお化粧まで、すべて自分達でするそうです。京都の舞妓さんと同じ歌舞伎油を使っており、「舞娘に成り立ての頃、肌が弱くて白塗りに苦労しました。」と智弥さん。

夜は付近の料亭のお座敷に出る酒田舞娘。お客さんにお酌はしますが、勧められてもお酒は飲みません。「舞娘は未成年」という基本的な考えからです。

やりがいを感じるのは「お客さんに『上達したね』と言われたとき」で、「お座敷でお客さんとさまざまな話をするのがとても楽しい」と口をそろえる2人。とても二十歳前とは思えない立ち居振る舞い、話し振りは、師匠の芸妓・力弥姐さんの厳しい指導の賜物でしょうか。

舞娘修行は社会勉強や花嫁修業にもなります。そして、修行を通して得た「上下関係をわきまえた付き合い」「相手への気配り」「他人を優先する」ことなどは、ふだんの生活にも役立っているそうです。

 

舞娘茶屋 雛蔵畫廊 相馬樓

相馬樓外観
 
住所 :山形県 酒田市 日吉町一丁目舞娘坂
電話 :0234-21-2310
FAX :0234-21-2924
交通 :JR酒田駅からバス5分 寿町下車すぐ
URL :http://www.somaro.net/

※開樓時間・料金等は、公式サイトをご覧ください。

 
売店の写真 売店では、ちりめん細工の小物や扇子・うちわなどの和雑貨を販売。相馬樓オリジナルの和紙セットや根付け、手ぬぐいなどが人気。
 
 

※相馬樓酒田舞娘は、「その場を華やかにする舞う娘」という意味をもたせるため「舞妓」ではなく、「舞娘」と表記します。

2007.08.06 up
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